
北海道という豊かな自然あふれる舞台で、「新しい」をつくり出す人々。
彼らの作品にはそれぞれの願いや想いがいっぱいこめられています。


〈Lienfarm〉
石田 佳奈子
ISHIDA KANAKO
北海道旭川のオーガニックハーブ生産農家。IFA 認定アロマセラピスト、フランス農林省認定ハーブ生産者としての肩書きを有し、フランスでの農業研修を経て特徴や効能を知り尽くしたハーブ生産農家ならではの販売方法を実践している。
「人と大地の橋渡し」
12年間のフランス農業修行を経て日本に帰国。フランスのハーブ農家と提携し、オリジナルのハーブプロダクトを自社で製造販売している。フランスでの農業研修時代に、師匠と共に作った素晴らしい製品を日本にも紹介したいとの想いからブランドを立ち上げた。


「Lien( リアン)」とはフランス語で「繋がり」を意味する。植物からの恩恵を実感して頂き、現代人に大地との繋がりを思い出して貰いたい。そんな力強いハーブを作りたいと言うのが〈Lienfarm〉の想いだという。「地球を癒すハーブ」をテーマに美味しく環境と身体に良いものをつくり、農業を通して地球と人が共生できる、「人と大地の橋渡し」を目指している。


今後の目標として、活きる喜びをシェアするヴィレッジを作ること、ハーブを使ったヒーリングセンターをつくることなどを挙げており、人を、地球を癒すハーブの魅力を発信し続けている。



〈手作りクレヨン工房 Tuna-Kai〉
伊藤 朋子
ITOU TOMOKO
岩城 雄
IWAKI TAKESHI
川上郡標茶町に工房を構え、自然の草木や土、貝殻などから色を頂いて、クレヨンや絵の具をひとつひとつ手作りで作っている。人工的に色を足さず、あえて「道具として使いやすい画材」ではない画材を作り続けている。 現在息子である岩城氏と2人で製作中。
化学物質過敏症の少年との出会いが始まり
クレヨンを作る前は、草木染めをして講師として活動しており、その時に出会った小さな男の子は、市販のクレヨンや絵の具はアレルギーが出て使えないという化学物質過敏症であった。その子のためにクレヨンを作ってあげようと、男の子に出会ったなんと次の日から草木染めを辞め、クレヨンつくりに専念することにしたという。


自然と寄り添って絵を楽しむクレヨン
化学物質過敏症の子どものために作り始めたため、石油系、化学薬品等を使わない自然由来のクレヨンと絵の具。自然の色は淡く優しい色合いで、自然と寄り添って絵を楽しむことが出来る。また、色を頂いた草木の名前が色の名前になっており、どんな植物からの色なのか親子で想像しながら使うことも出来るなど、単なる絵を描く道具でない、クレヨンの新しい価値を提案している。色の由来、化学物質過敏症の人たちがいること、自然の色ははかなく淡いことなど、気づきを楽しむクレヨンとなっている。


形は製作した時の水分量等で多少大きさが異なり、その姿は様々な個性を持つ子供たちを見ているかのようだという。自己主張の強い子、優しく控えめな子、背が高い子、痩せた子、、、そんな気持ちで不揃いを楽しんでいただきたい、と語る。
「思い出の色や形を作っていきたい」
大学の時に静岡から北海道へ移住。現在の工房のある虹別に工房を構えた際には、酪農地帯の地域の人たちはとても温かく迎えてくれたと語る。その感謝気持ちを伝えるため、数年前から牛のウンチからクレヨンを作り、地域の人たちの牛への思いを色として残してきた。人と人のつながりや想いをとても大切にする心が伺える。また、お客様で癌で北海道旅行はこれで最後という方に出会い、「思い出の色や形を作っていきたい」という思いがさらに大きくなったという。
「様々なイベント催事で多くの作家さんと繋がりました。例えば思い出の木を切らなければならないことになったら、木工作家さんがその木からお皿を作り、蒸留家さんがその木の精油を作って香りを楽しんだり、機織り作家さんがその木から色を染めた糸でストールを織るなど。私もその木からクレヨンや絵の具を作り…そんな活動を今後出来たら。」と、そう未来を語る。自分で満足する作品づくりではなく、お客様の思い出を形にする作品づくりをしていきたい。伊藤氏の優しさや想いが、クレヨンを通して感じられる。




〈chao〉
松田 美沙都
MATSUDA MISATO
ガラスアクセサリー作家。使用する素材に着目し、廃棄された蛍光灯を再利用したガラスアクセサリーなど、メッセージ性のある作品を創り出している。
想いを形にすることの素晴らしさを知り、
言葉では表現出来ない部分を「ものづくり」を通して相手に伝えたい。
「北海道でものづくり」をコンセプトとし、北海道の素材を使用した商品をつくる。
作品のテーマは「毎日を少しづつ楽しもう」。
物が溢れるように生産されていく世の中に対し自分自身のものづくりを振り返り、「何を作るか」ではなく、「何で作るか」を大切にしているという。


「何を作るか」ではなく、「何で作るか」
現在、廃棄された蛍光灯を利用したガラスアクセサリーを製作。リサイクルではなく「アップサイクル」として、より良いものに生まれ変わらせるという活動を行っている。また、同じものは作れない1点ものとして、その価値を高めている。
「北海道」や「アップサイクル」をテーマにしたイベントに参加したいと語る。北海道ではなかなか開催されていないロハスをテーマにしたイベントなど、道内問わず様々なことにチャレンジしたいと、新しいことに対して意欲的な姿勢をみせている。



〈Aobato〉
プリンター/染職人
小菅 和成
KOSUGE KAZUNARI
デザイナー
岩本 奈々
IWAMOTO NANA
〈Aobato〉という名の小樽のテキスタイルブランドを立ち上げ、夫婦で共同した作品制作を行っている。
小樽の空気感を感じてもらえるような作品作りがしたい
互いの得意分野を活かして工房を構えたいとの想いから、2017年に小樽への移住とともにテキスタイルブランド〈Aobato〉を立ち上げ、個展を開催した事からスタートした。 ブランド名には小樽市の鳥「アオバト」の名を借りている。小樽の暮らしや自然の風景に感化され、「この土地に呼んで頂けた」と感じ、小樽の空気を感じてもらえるような作品作りがしたいという。

日々の何気ない景色を、
小樽市の鳥「アオバト」の視点になぞらえて
コンセプトは「アオバトの眼に映る北国の情景」。小樽をはじめとした人々の営みや、季節の移ろい。日々の中で通り過ぎる何気ない景色、アオバトの視点になぞらえたらどんな瞬間に出会えるだろう、と思いを馳せながら景色を描き、1枚1枚思いを込めて生地を染めている。


作品の道のりを感じる1枚が、今日も使う人に日々の小さな発見や喜びを与えている。

北国の港町の「アオバト」から、展望をさらに発展させて、日本国内から海外へ旅をするように広く展開をしていけるブランドに成長してゆくことが目標だという。



〈Liaison〉
河野 理恵
KAWANO RIE
札幌軟石アクセサリー〈Liaison〉のデザイナー。札幌独自の素材「札幌軟石」の魅力を身近に感じられる、アクセサリー製作を行う。
「札幌軟石」の魅力をもっと身近に感じてほしい
テレビディレクター、その後、芸能事務所スタッフとして勤務。その2つの仕事を通じて感じた「札幌や北海道の魅力を伝える仕事がしたい」「札幌らしいものづくりがしたい」との想いがあった。「札幌軟石」との出会いはとある展示会。札幌軟石でできた生活に溶け込むような鍋敷きやセロハンテープ台をみて、石なのに柔らかさがあり、軽く、切り口によって表情が違う、北海道の大自然が作り出してくれた札幌でしか手に入らない「札幌軟石」に感銘を受けた。その魅力をもっと身近に感じてほしいとの想いから、身に着けられるアクセサリーにしようと〈Liaison〉を立ち上げた。


「札幌軟石」は札幌という街の魅力の一つ
〈Liaison(リエゾン)〉という名には、フランス語で「つながる」という意味があり、自身の名のリエと北海道のエゾも入っていることから、北海道から自分の作ったブランドを通して、札幌軟石の魅力を知ってもらい、多くの人と繋がりたいという気持ちが込められてるという。
「札幌軟石」は、4万年前の噴火の火砕流でできた石。開拓の際には札幌発展に大いに活躍し、今でも建造物が各所に残っており、新しい建物にも使わている。その歴史ある「札幌軟石」を、札幌という街の魅力の一つとして、アクセサリーとしての形で発信し続けている。


また、今後の展望として、生活に溶け込む雑貨やアート的に飾れるようなアイテムの展開にも意欲的だ。また、アロマオイルをたらしてアロマストーンとして香りを楽しむという、吸水性・揮発性といった札幌軟石の特性を活かした活用方法の提案など、より一層札幌軟石を身近に感じてもらえるような作品を創りたいと夢を語っている。



〈エシカルストア・プラナシスタ〉
新谷 暢敏
ARAYA NOBUTOSHI
北海道初のノンプラスチック専門エコストアを経営。ECOやエシカルに興味がある人のために、コミュニティづくりに力を入れている。
ECOはとてもエキサイティング
カナダ、メキシコに環境について学びに留学に行き「ECOはとてもエキサイティング」なのだと教わった。都市で暮らしていても、社会に良いコト、地球環境に良いコトは始められる!楽しいし、便利だし、毎日を充実させてくれる!そう考え、ほかの人にもそうしたことに体験や繋がりを通して気づいてもらえる場をつくりたいと思い、このお店を始めたという。
「プラナシスタ=プラ無し+Fantasista」
“プラ無しライフを楽しむ人”という意味で、店名であると同時に、関わる一人一人のことを指している。
「be a planasista!!あなたもプラナシスタになろう!」
そんな軽いノリで足を運んで頂きたいとの想いを抱いている。


「地球ごとを、自分ごとに」
「地球ごとを、自分ごとに」を合言葉に、今日から始められるアクションを紹介している。また、少数派のECOやエシカルに興味がある人のため、コミュニティづくりにも力を入れている。〈プラナシスタ〉に来れば、同じ感度の人と関われ、毎日がより面白くなる。そんな場を目指し、こつこつコミュニティづくりに励んでいるという。
エシカルな人たちを集めたマルシェを開催したり、エシカル、ECOを実践的に学べるオンラインスクールも準備中。さらにコミュニティの輪を広げる活動に尽力している。店の一角で量り売りコーナーを作りたい!会社でSDGsに取り組みたい!といったアクションを後押しすることにも、意欲的に取り組んでいくようだ。
