周年ロゴができるまで

重なる想い、つながる未来。
新しい時代を迎える
私たちの姿勢を、
新しい世代の手で表現しました。

北海道の歴史、地域、文化、そして人とともに歩んできた私たちの節目の一年を表現する、周年記念ロゴマーク。そんなロゴマークを、北海道の新しい時代を作る若者たちの手によって表現したいと考え、一般社団法人札幌大学ウレパクラブと協力して制作を行いました。ウレパクラブのメンバーのほか、アイヌ民族にルーツを持つ北海道のデザイナー石上光太郎氏をデザイン監修に迎えたプロジェクトチームを結成し、制作を進めました。
アイヌ文化を大切にする私たちの想いと、アイヌ文化を学び発信する次世代の若者の想いがリンクした新しいロゴマークには、私たちが今後も大切にしたい想いが詰まっています。

周年記念ロゴマークに
ついて

北海道の未来を
フロンティアする。
周年ロゴマークに込めた、
地域への想い。

周年ロゴは通常のロゴマークである と異なり、それぞれの時代の想いをのせたロゴとなっています。丸井今井と札幌三越が会社統合して以降、統合直後の140・80周年は“未来に向けた暖簾の融和”、大型リモデル完成直後の145・85周年は“未来への飛翔”。そして今回の150・90周年は「地域と共生し、北海道の未来をフロンティアする」との想いをもとにロゴを制作にあたっています。
今回の周年ロゴは、北海道が開拓される前から、この大地で育まれてきたアイヌ文化に感謝・敬意をこめ、これからの新しい時代を創る札幌大学ウレパクラブの学生と丸井今井・札幌三越が共同で制作し、“北海道の未来を創造”としています。


150周年、90周年の数字部分をアイヌ民族の民具や伝統工芸で表現しました。「1」にあたる部分は伝統楽器ムックリ、「5」と「9」は着物などに施されるアイヌ文様をモチーフにしました。真ん中の「0」は伝統的なお盆イタに見立て、中にはアイヌ民族にとって特別な存在であるフクロウを象った文様を入れました。最後の「0」は首飾りタマサイです。150年、90年を特別な年として意識しながら、アイヌの民具や文様と組み合わせることで、北海道やアイヌ民族の歴史を大切にしている丸井今井・札幌三越の姿勢を表現しています。


敬意と感謝、そして学び
アイヌ文様に秘められた
先人からの想い

丸井今井・札幌三越が150・90年にわたり、この地で商いを営んでいられるのは「北海道で暮らす人達の生活を豊かにしたい」との想いがあるからです。
“豊かさ”の在り方は時代とともに変化していくなかで、これからは「自然・人・モノへの感謝」「ほかの誰も持ちえないパーソナライズされたモノ・コト」、そして「想い・情熱が積みあがった学び」が、北海道で暮らす人達の心を豊かにすることに繋がるのではないかと感じています。
そして実現に向けては、この地の先人であるアイヌ民族の文化を知ること、触れること、取り入れることが、その1つではないかと想い150・90周年のロゴに取り入れています。


周年ロゴマークの変遷

140、80の数字を象徴的にデザイン。洗練された書体ですっきりと見せつつ円の中におさめ一体化させて認知度を高めました。円は、視覚的な安定感や安心感をかもし出すとともに、「環」がつながり・絆の永遠性、親和性を象徴。エネルギーを感じさせる赤をベースに、ゴールドのグラデーションの数字で百貨店らしい格調高さと上質なイメージを表現しました。

羽ばたく鳥をモチーフにしたロゴデザイン。一年を飛躍する願いを込め、「5」の横棒をつばさに見立て両店を表現しました。

もとになった飛翔イメージ

制作過程紹介

札幌大学ウレパクラブ学生と共同制作

札幌大学ウレパクラブ

ウレパは「育て合う」という意味。札幌大学の学生を中心に、さまざまなルーツを持つ学生たちが一緒にアイヌ文化を学ぶことで未来のアイヌ文化の担い手を育て、多文化共生のモデル創出を目指しています。

01. オリエンテーション

2021年12月上旬、札幌大学内にてオリエンテーションを実施。石上さん、札幌大学ウレパクラブの学生、札幌丸井三越のプロジェクトメンバーが集まりました。
自己紹介を終えた後、札幌丸井三越より今回の周年ロゴ制作における企画内容について説明。今回の周年事業の概要をはじめ、ロゴ制作にとって重要な周年事業のテーマ「共生」を掲げてその内容を紹介しながら、ロゴデザイン制作にあたっての希望点や意識してほしい点、注意点などを共有しました。
その後石上さんから、デザインにあたっての考え方やアドバイスをもらいました。学生たちは積極的に質問したり意見交換をするなど、有意義なキックオフの時間となりました。

02. アイデア出し、
デザイン案制作

前回のオリエンテーションで聞いたテーマをもとに、学生たちはそれぞれデザイン案を検討。実際に丸井今井や札幌三越に足を運び、さまざまなフロアを訪れリアルな売り場を体験しながらアイデアを膨らませました。
12月中旬、学内にてウレパクラブと石上さんとで制作に向けたミーティングを実施。学生それぞれがデザイン案のアイデアを持ち寄り、案を検討しました。同じテーマからの出発点でも三者三様のアイデアがあり、アウトプットの方向性もさまざまです。
その後、石上さんがそれぞれのデザインをデータ化したものを用意し、個別にミーティング。どのように案を着地させるか綿密な打ち合わせを行い、制作を進めていきました。

03. デザイン案
ブラッシュアップ

年が明け1月に入ると、デザイン制作はいよいよ大詰めを迎えます。学生たちは個別に制作を進め、各々のデザインのブラッシュアップを行いました。
デザイン案は石上さんがチェックを行い、再度学生それぞれにフィードバック。単なるデザインとしての美しさだけではなく、アイヌ文化や伝えたい想いが表現できているかといったことも含めて検討し、書体やカラーバリエーションなどについても調整を繰り返しました。より良い案となるよう、学生たちは真摯にデザインと向き合いながら個々の案のクオリティを上げていく作業に取り組みました。

04. プレゼンテーション、
デザイン決定

2月上旬、プロジェクトメンバー全員が参加し、学内にてロゴのプレゼンテーションを実施。学生たちが順番に案を発表し、完成したデザインのテーマ、どのような想いで作ったか、どのような場所で使われたいか、ロゴを通じてお客さまに何をお伝えしたいかといったそれぞれの想いをプレゼンしました。
その後、札幌丸井三越内でロゴの選定が行われ、3月上旬に案が決定。周年ロゴは織田瑞希さんの案が採用となりました。そのほか岩谷玲奈さん、刈田礼奈さんのロゴも周年事業や施策のなかで使用していきます。

制作者に聞く、
ロゴへの想い

リベラルアーツ専攻 2年 岩谷玲奈さん

丸井三越さんの上品かつ高級なイメージを守りながら、アイヌとコラボしたということがしっかりと伝わるように意識して制作しました。モチーフとして使用した「アイウ文様」は、アイヌ文様の中でもシンプルでわかりやすい模様であり、マークとして認識しやすいと思います。こだわりは、線とカラーリングでメリハリをつけたこと。丸井三越さんそれぞれのカラーを黒い線で縁取ることで、わかりやすく引き締まったデザインに仕上げました。

歴史文化専攻 2年 織田瑞希さん

周年イヤーを直感的に伝える数字のロゴで、見た人にわかりやすく、かつ、個性のあるもので覚えていただけるよう意識して制作しました。丸井三越さんを贔屓にしている世代の方はもちろん、私のような若者にも受け入れやすい、シンプルでキャッチーなタッチと色づかいで目をひくデザインにしました。このロゴを見た時にアイヌがルーツであることを発見し、ワクワク感が生まれたらとの想いもありますが、アイヌをよく知らない人も純粋にデザインを楽しんでもらえたらうれしいですね。

歴史文化専攻 2年 刈田礼奈さん

伝統を重んじ、高級さや威厳を重視する丸井三越さんにふさわしい重厚感のあるロゴデザインにしました。創業当初からの良い部分を残しながら進化する姿勢をアピールできたらと思い、漢数字は屋号(「井」の文字と「越」の文字の一部分)や書体を取り入れ、新しくもどこか懐かしいデザインになるよう意識しています。二つのロゴが合わさってハートのように見えるデザインは、アイヌ文様のモレウの特徴を生かしており、ひとつでも文様として成立しつつ、共生という丸井三越さんの想いを表現するものとなっています。

※学年は2022年2月現在


デザイン監修

石上 光太郎氏 1974年釧路市阿寒町生まれ、母が白糠出身でアイヌ民族にルーツを持つ。札幌市在住。広告制作会社を経て、2016年よりフリーランスとして活動。ポスター·チラシ·パンフレット等の印刷物やWEB等、幅広く制作。アイヌ文様をあしらったポスターやチラシなども制作。

さまざまな歴史・文化・世代が織りなす、すてきなクリエイティブプロジェクトとなりました。今回の制作は、アイヌ文化を表現に用いながら、丸井三越さんの想いをどのようにお伝えするするかがポイントです。私の役割は、学生たちのアイデアを形にするお手伝いをすること。学生たち三者三様の想いに寄り添いながら、指導にあたるよう心がけました。自分の案に信念を持ち楽しみながら取り組む様子から、あらためてものづくりの楽しさを感じました。また、クライアント、学生、そしてアイヌ文化の橋渡し役としての今回の経験は、自分自身にとっても学びが多く、関われたことをうれしく思います。この周年ロゴを通じて、北海道にとってかけがえのないアイヌを、幅広い世代が身近に感じる機会になればと願っています。